「ほたてカンタービレ」攻略本

明日は紅楼夢の買い物に行かなきゃならないんで、取り急ぎ今日仕上げました。
例の如く新刊の内容の解説を行っているので、思いっきりネタバレです。
本編読んでから見てね。
あと長ったらしく書いてるので、時間のある時にでもじっくりお読みください。



「ほたてカンタービレ」キャラ解説

下っ端哨戒天狗「犬走椛」

まさかの復活を果たした白狼天狗。
復活に伴ってもうちょっと話を続ける事にしました。
今回のエピソードはその第2部への序章的な位置づけになります。
そんな話なので内容的に大それた問題は起きませんが、今後の事を考えてまた設定をいくつか追加しました。
その設定ってのは以下の通りです。

  • はたての名前をちゃんと言えない
  • お酒は三天狗の中で一番弱い
  • 脇汗が凄い
  • 毛深い


お酒が弱いという設定はあくまで「3人の中で」なので、下戸と言うわけではありません。
というか天狗自体人間と比べ物にならないぐらいお酒に強いらしいので、きっと下戸の天狗がいたとしても人間の酒豪ぐらいには飲めるんじゃないかと思っています。
でも椛に関しては厳密に弱いというわけではなく、まだお酒の飲むペースを理解していないという感じで考えております。
酒飲みとしてのスタイルがまだ固まっていない事を、まだまだ天狗としも成長の余地があるという隠喩にもしています。
あと汗っかきの設定に関しては自分もそうなので、感情移入しやすいよう付加させました。
今年の夏は暑かったので本当に汗がヤバかったです。
きっと椛も同じだったんでしょうね。
毛深いのに関しては人物的に弱点が多い方が笑いを取りやすいので追加した意味合いがあります。
はたての名前に関しても同じですね。
今後は椛、文、はたての3人の持ちつ持たれつな関係が上手く機能してくれればと思ってます。

最も里に近い天狗「射命丸文

このシリーズの陰の主役です。
今回のエピソード自体が、「うどんげ細腕繁盛記」や「椛を揉んだらサヨウナラ」で描いてきた彼女の悪い印象を和らげる為の物でもあったりします。
今まで描いてこなかったけど、射命丸だって椛の事を後輩としてかわいいと思ってるし、彼女の今後の事も考えてるんだよってのをちゃんと出してやらないと誤解されてしまいますんで。
つまり逆を言うと今後射命丸はまた椛に色々苦難を与えるって事でもありますね。
まぁ、具体的な事は今後の展開をお楽しみにって事で。

今どきの念写記者「姫海棠はたて

初登場の天狗。
というかダブルスポイラーで出たばっかりなんだから当然ですね。
この間新潟で開催された「えちご東方日和参」というイベントに一般参加した時、新潟の作家さん達の椛や射命丸に対する深い愛と、新たな天狗の登場に盛り上がっている熱気にすっかり感化されてしまいまして、自分もこのエピソードを作る事に決めてしまいました。
逆を言えば自分が新潟に行ったから出てきたキャラって事でもありますね。
何か理由が理由になっていない気もしますが、細けぇ事は良いんだよって事で。
原作では「キモーイ」とか「甘ーい」とか言う女子高生的な口調をするキャラみたいですけど、自分はそういうキャラクター作りが出来そうになかったので楽天的でちょっと強気って感じに落ち着かせてもらっています。
あと家が金持ちという設定も勝手につけさせてもらいました。
強気な部分はそういう家柄的な所から来てるって感じで。
それと射命丸との関係ですが、仲は全く悪くありません。
むしろ幼馴染的な含みすら持たせてやってます。
椛と射命丸の間に投入する際に良い化学反応を起こさせる為に付けた設定ですけど、どうやら上手く機能してくれそうです。
今後は椛との絡みももっと考えてやりたいです。

ストーリー解説

「ウチくる?」

タイトルは同名のテレビ番組から。
元ネタの番組は「ウチくる!?」とエクスクラメーションマークが付きますけど、はたてはそんなに強気で誘ってるわけでは無いですし、まるまる名前を使わせて貰うのもちょっと気がひけたのでクエスチョンマークだけにしました。
内容的には飲み会の始まりとはたての登場を描いただけで特に深い意味合いはありません。
どうでも良いんですが4コマ目のはたてを描き終った時、何か原作の絵と雰囲気が違うなーと思ったんですが、その違和感の正体って髪のウェーブの有無なんですね。
このコマでは既にペン入れを済ませてしまってから気付いたんで、書き直しができませんでしたけど、それ以降は髪の癖に注意して描いています。
逆を言えばはたての髪がストレートになっているコマほど早い段階でペン入れした物になってるって事ですね。
注意して見ると面白いかもしれません。

「妖記者χの献身」

タイトルの元ネタはガリレオシリーズの「容疑者Xの献身」から。
ちなみにこちらでのタイトルの読みは「ようぎしゃかいのけんしん」です。
エックスじゃないのでご注意を。
この話のタイトル候補には「χになるまで待って」というのもありましたが、意味合いが感じられなかったので没になりました。
どうでも良い部分ではありますけど、ちょっとは拘ってるんですよ、ええ。
話的には「ほたて」と「掘っ立て小屋」を掛けたただのダジャレって感じです。
まぁ、今回の本はラスト以外は基本的にフィーリングで作った浅い内容の物が多いので、こんなのばっかなんですよね。
解説の必要すら無い気もしますが、自己満足なので書かせて下さい…。

「ほたていじり」

タイトルの元ネタは「せがれいじり」というゲームから。
前の話で「ほたて言うな」と言われたので、椛と射命丸が気を使って名字で呼んでいます。
決して「はたて」と呼ばないのはもうお約束ですね。
あとここではたての家が金持ちだと明かされます。
はたての花果子念報は情報が古くてあまり売れてなさそうなんで、それでも生活していけるのなら親の脛をかじるしか無いだろうと思って考えました。
ちなみに「ウチくる?」で椛が「文さんの家やわっちの部屋じゃ…」と言っていたので勘の良い方は気付いているかもしれませんが、射命丸は一戸建てに、椛は寮に住んでいる設定にしています。
射命丸が自分で家を建てられるぐらい儲けているのかまでは分かりませんけど、親から貰ったとかそういうんじゃないかなと。
原作の明かされていない設定を考えるのって、やっぱ楽しいですね。

「妖貝モダンコロニー」

タイトルはダブルスポイラーの取材テーマ2である「妖怪モダンコロニー」から。
この曲は椛の写真が全然取れなくて、プレイしている間は本当に耳にタコができるぐらい聴きましたね。
でも思い入れが強い分ダブルスポイラーの中では一番好きな曲だったりします。
今回の話のメインの舞台となるはたての家に到着します。
この「ほたてカンタービレ」という話自体は東方三月精魔理沙がちょっと語っていた天狗の飲み会を自分なりに想像して作ってみた物ですが、その裏で実は映画で言うワンシュチュエーション物というのに挑戦している話でもあります。
ワンシュチュエーション物というのは三谷幸喜さんの「笑の大学」や、堤幸彦監督の「チャイニーズ・ディナー」に代表される限られた空間でのみ展開される物語です。

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限られた舞台だからこそ作り手は見せ方や物語で受け手にその空間の狭さや飽きを感じさせないようにしなければならず、監督の力量が問われる難しい作品となるのが普通なんですが、考えてみれば4コママンガ自体コマが小さいので描ける物が限られてしまい、結果としてワンシュチュエーション物であるという事そのものがあんまり感じられないんですよね。
なので描いててもいつも通りでしたし、ある意味では拍子抜けだったかなと。
で、はたての部屋ですけど、引き籠ってたって事で少々オタク趣味的なポスターやフィギュアを置いてみました。
でも実際にはたてにオタクの趣味があると言うわけではなく、射命丸と同様に外に出て取材するようになった分、幻想郷の外にも興味が出て珍しい物を集めるようになったと自分では解釈しています。
外の世界の食べ物がはたての家にあったのもそういう意味合いからです。
まぁ、どうだって良い部分なんですけど、こういう部分を妄想するのが好きなんですよ、ええ。

「ハングリースポイラー」

タイトルは「ハングリースパイダー」という曲から。
飲み会開始です。
とりあえず最初に出す話題は仕事についてだろうと思ったので、射命丸とはたての新聞製作についての考えとかを語らせています。
射命丸はとにかく新聞製作にまじめですが、はたては売れなくても何とかなるだろって思ってるんじゃないでしょうかね。
でなけりゃ念写で新聞なんか作らなかったでしょうから。
あと新聞は刷る人も居るようなんで、配るのを生業にしている人とかもいるんじゃないかなと思っています。
そういう人と契約して配らせている天狗も居れば、射命丸のようにネタ探しのついでに自ら配るのも居るんじゃないかなと。
妖怪の山の社会ってそういう感じで成り立ってるんでしょうね。
一方、椛はすでにペース無視して酒を飲み始めています。
この辺が酔い潰れやすい原因だと気付くのは何時になるのやら…。

「もみもみ時間」

タイトルの元ネタは「けいおん!」の「ふわふわ時間」という挿入歌から。
椛のワキ出しの理由が今、明らかに。
…と言っても椛が脇を出しているかどうかは作家さんによって違いますし、理由も様々だと思うのであくまで自分の所の椛の理由ではありますけどね。
一応ワキ汗防止の為としていますが、本当に脇だけ異様に汗をかく人っていますよね。
椛もそういうワキ汗パラダイスな部類の方って事で。
そういや今回の本から椛の配色が変わりました。
髪は白ではなく銀に、スカートも黒地に白のギザギザ模様となってます。
理由は前の色があまりにも白すぎて、上半身だけ映すと真っ白になっちゃうからです。
あと同じ理由で天狗がかぶっている六角形の帽子の紐も横に垂らしています。
これの有無でぐっと女性っぽくなるから不思議です。
アクセサリーって大事なんだなぁ。
まぁ、まだ描き慣れてないんで忘れてる個所も多々ありますけどね。

「ニュースハウンド」

タイトルはダブルスポイラーのタイトル曲の名前をそのまま拝借しました。
ニュースになる犬(ハウンド)って意味になってるんで。
ワキ汗以外の椛のコンプレックスが明らかに。
きっと普段からワキも手入れとかしてるんでしょうね。
まぁ、マニアックな話題になりそうなんで細かい所は皆さんのご想像にお任せします。
一応毛深いって設定は狼という獣のイメージから出てきています。
全身が毛におおわれているんだから、きっと椛も毛深いんだろうなと。
で、それが前の話と繋がりそうだったので、話に落とし込んでみました。
あとはたての携帯の待ち受け画像なんですが、「どこでもいっしょ」の井上トロにしています。
本当は今旬な「ぽかぽかアイルー村」のアイルーにしようかと思ったんですけど、あんまり新しい物は幻想郷に相応しくないと思ったんで、同じ猫系のトロにしました。
けどちょちょっと描いてみたら予想外に上手く描けてしまったんで、必要以上に目立ってしまったような気が…。
版権的にも気掛かりな気がするんで、頭に橙の帽子でも乗っけてお茶を濁しとけば良かったなと今は思ってます。

「こんな天狗に誰がした」

タイトルはメタルマックスシリーズの「こんな戦車に誰がした」という曲名から。
メタルマックスはゲームも大好きですが、音楽も大好きです。
サントラやアレンジCDも可能なぐらい集めまくっていまして、今度発売する3のサントラもエビテンに会員登録して予約済みだったりします。
そんなわけでこの話は愛するメタルマックスへのオマージュをちょっと盛り込んでいます。
はたてが出してきたドッグフードはファンなら誰でも知っている「わんわんグルメ」ですし、缶には「毛並みツヤツヤ」って書いておきましたし、椛をポチに見立てて食わせてますしね。
きっと椛の剛毛もツヤツヤになるんでしょう。
そういやこれを描く直前にSPAMという沖縄で有名なソーセージ缶を初めて食べたんですけど、想像以上にやわくて美味しかったですね。
でも何か高級なドッグフードもこういう感じなのかなとその時思ったんで、椛が食べたわんわんグルメもSPAMみたいな美味しさだったんだろうと思ってます。
まぁ、絵にはそんなの表現できませんけど、一応ね。

あなたの町の貝事件」

タイトルはダブルスポイラーの取材テーマ1である「あなたの町の怪事件」から。
ほたてが起こした事件なので、こういうタイトルです。
安直ですね。
椛ははたての事をほたてとしか言えません。
原因は分かりませんが、そういう事にしています。
一番最初に椛とはたてが絡んだらどうなるのか考えた時、椛が「ほたてさんほたてさん」と連呼してるのが思い浮かんだので、もうこの際「ほたて」としか言えなくしてしまいました。
で、無理に言わせると泣くと。
ちょっとシュールな話ですけど、そういう不思議な関係ってのも良いかなと思ってます。

私は貝になりたい

タイトルは同名の映画から。
ボスが以前に「月のイナバと地上の因幡は登場人物が三竦みになっているのが面白い」と言っていました。
綿月姉妹は霊夢魔理沙レミリアに勝つほど強いけど、因幡てゐには敵わない。
けどてゐは霊夢達には力で敵わない、と。
そんな三竦み的な構図を自分もやってみたいと思いまして、椛、文、はたてにこれを当てはめてみました。
射命丸は椛の弱みをたくさん知ってるけど、逆にはたてはそんな文の過去の恥ずかしい話とかも知っている。
で、はたては椛をすぐ泣かせてしまいますし、ほたてと呼ばれるので色々と困ったりしているって感じで。
まぁでもあんまり有効に活用出来なさそうなんで、細かい事に拘らずに今後の話を描いて行こうと思ってます。
で、この話ははたてが射命丸の恥ずかしい過去を暴露するという物です。
最終的に口は災いの元って感じで終わってますけど、はたての話も最後まで言い切れればけっこうな美談になってたと思うんですよね。
「頑張れば椛も文を超える事が出来るよ」って内容だったんで。
まぁ自業自得だからしょうがないか。
それにしても結局本編ではたては誰からも正式名称で呼ばれる事がありませんでしたね。
話考えたのは自分ですけど、ちょっと可哀相だったかなと。
…いや、罪滅ぼしをするつもりもありませんけどね、今回は。

「妖貝の山」

タイトルはダブルスポイラーの取材のテーマ5である「妖怪の山」から。
どうでも良いんですが、ダブルスポイラーって「かい」の付く曲名が多いですよね。
これってほたてフラグだったんでしょうか。
そんな事より内容ですが、ここからは次回作へ話を繋げる事をメインに据えて物語が展開されていきます。
射命丸が決めた事の詳細はまだ言えませんが、これからまた過酷な事を椛にやらせようという事ではあります。
…と言うか予告で「信仰獲得大作戦」とか書いてるんで、それにちなんだものってのはバレバレですよね。
まぁ、具体的な内容はお楽しみにって事で。
ちなみに妖怪の山の抱える問題の一つとして挙げた「烏天狗と白狼天狗の軋轢問題」ってのは自分の二次創作のオリジナルと言っても良い物です。
ダブルスポイラーで文と椛の関係が犬猿の仲であると公式に語られる事となりましたが、そうなると自分の二次創作が成り立たない為、仲が悪いのは文と椛ではなく烏天狗と白狼天狗という形にさせて頂きました。
こうする事で何とか話の辻褄が合いますし、椛が白狼天狗の中でも特殊な存在となるのでキャラクターが際立ちますからね。
邪道ですけど、どうか容認して頂ければと思います。

「スポイル・アンド・ティアーズ」

タイトルの元ネタはMOTHER2の「スマイル・アンド・ティアーズ」という曲から。
飲みに始まり、ゲロで終わる。
これが飲み会のサガですね。
椛そのものは下品に、そして並行して語られる文とはたての会話は綺麗にまとめる事が出来たので、対比がちょっと気に入っていたりします。
ちなみに尺が足りなくて描く事は出来ませんでしたが、射命丸は椛の嘔吐物の直撃を受けてしまったので、そのまま姫海棠邸で風呂を借りて一泊していっています。
で、その間に最後のページの「文々。新聞」の記事を書いて、翌日発行したって流れです。
記事にして流布するってのは射命丸が出来る最大の復讐でしょうし、受けた被害の分ネタにして取り戻さないと癪でしょうからね。
それと時間が無くて書けませんでしたけど、はたての方も自宅の敷地内で吐かれてしまった腹いせに同様の内容を花果子念報に書いて発行しています。
本当は書きたかったんですけどね、まだ公式に紙面が出てない花果子念報ってのも。
まぁ、いつか別の機会で書ければと思ってます。


と言うわけで今回の攻略本は以上です。
長々とお付き合い頂き、ありがとうございました。
次は多分椛の話の続きではなく、うどんげとチルノの話の続きになると思いますので、またそちらの解説でお会いしましょう。